★はじめに
昨年Youtube・ブログ・Twitterなどでパイプ水耕栽培の出したところ、意外と反響がありました。それでみなさんの為になればと思い私がパイプ水耕栽培で得てきた全ての知識や経験をこの記事に詰め込んでみました。
記事は上から順に読んで頂くことでパイプ水耕栽培の装置の作り方から管理までのことが全て分かるようになっています。
是非、最後まで読んで頂きパイプ水耕栽培ライフを満喫して頂きたいと思っております。
本文に入ります ↓
こんにちは無色の畑です。
この記事は次の人向けです
・パイプ水耕栽培をやってみたいけどやり方が分からない
・作り方とか一応調べたけどもっと細かいところまで知りたい
・秘密にしていることがあれば教えてほしい
この記事では次の内容を中心に解説します
・パイプ水耕栽培の装置の作り方から管理方法までの全てを解説します
・これまで公開してこなかった細かな情報も付け加えて解説しています
・秘密にしていることはありませんが、これはやっておいて良かったことも紹介します
この記事を書いている私はこんな人です
★自己紹介
パイプ水耕栽培歴3年目
ミニトマトやトマトなどの夏野菜をメインに栽培しています
営農レベルでの水耕試験栽培も開始、市場出荷も予定しています
Youtubeにて水耕栽培関連の情報発信も行っています
(チャンネル登録者数1800人・2020年/1月)
今回の記事は長いので上巻と下巻に分けました。
下巻へのリンクはこの記事の一番下にありますのでそちらをクリックしてください。
それでは進めていきたいと思います。
目次
パイプ水耕栽培とは?
塩ビパイプに水を貯めて栽培する養液栽培の一つです。
材料である塩ビパイプは簡単に入手できるので気軽に始めることができます
栽培スペースに合った装置を作ることも可能です。
数年は使えるのでもし装置を大きくしたい場合は接手とパイプを追加するだけで済みます。
また他のロックウールなどの培地を使った養液栽培などに比べて、材料費も安く経済的なので水耕栽培初心者に「おすすめ」したい栽培方法です。
それでは具体的な装置の作り方・設置・管理方法を解説していきます。
まず装置の作り方を 「必要な物を紹介」・「装置の作り方」の順で 解説していきます。
必要な物を紹介
パイプ水耕栽培を行う上で必要な物を紹介していきます。
紹介するものは 私が 現在使っている物です。
材料の購入についてですが
塩ビパイプはお近くのホームセンター・金物屋・農業資材店などでお求めください。
塩ビパイプ
パイプ水耕栽培で使用する塩ビパイプは排水タイプの塩ビパイプを使用します
VU○○ → 排水用 薄い・値段安い
VP ○○ → 水道用 厚い・値段高い
私の装置→ VU150
● 塩ビパイプ(直管)
パイプ水耕栽培をするうえで必要なのがこの塩ビパイプです
※直管のパイプを今回の記事では塩ビパイプと呼んでいます。
塩ビパイプは4m単位で販売されています。
お店で見かける2mとか1mのカットしてある物は4mをカットしたパイプで短いパイプほど値段が高い傾向にあります。
できれば配達無料のホームセンターで購入して自分でカット(切断)した方が安くつきます。使わない分は後で他の野菜の水耕栽培用として使えると思うので置き場がある人は4mを買った方がお得です。
あとお店の在庫品を買う場合は
パイプが曲がってないか確認してください。
日当たりが良い場所に置いてある物は曲がっていることもあるので注意が必要です。
●接手のパイプ
接手のパイプは次の2種類を使います。
エルボ
90°に曲がったパイプ
※サイズは直菅パイプと同じ径の物を購入してください。
塩ビ接手
塩ビパイプと塩ビパイプを繋げる接手です。
※サイズは直菅パイプと同じ径の物を購入してください。
サイズは直菅パイプと同じ径の物を購入してください。
例)VU125であれば125の接手を使います。
●接着剤は使わないでください
栽培終了後にパイプの解体する場合、 解体するのが難しくなりますので接着剤で取り付けないでください。
● 野菜別パイプの太さの目安
葉物野菜(ほうれん草・レタス) → VU65~
果菜類(トマト・キュウリなど) → VU125~
栽培後期にパイプ内で根が詰まることがあります
少し大きめのパイプで育てると良いかもしれません。
水中ポンプ
パイプ水耕栽培では
水を循環させる為の水中ポンプが必要です。
水中ポンプは魚の水槽で使う小型の物を使います。
おすすめは 「カミハタRio」と言う水中ポンプです。
カミハタRioは能力が小さい物から大きい物まで揃っているので自作した装置にあったポンプを選ぶことができます。
パイプの全長が2m以内であれば「50~80」くらいの性能で十分です。
4m以上は長さで性能を変えていきます。
例)
パイプの全長が8mの場合 → カミハタRio 500・600くらい
パイプの全長が16mの場合 → カミハタRio 1100以上
水中ポンプには50Hzと60Hzタイプの2種類に分かれています。
お住いの地域で使える商品を購入してください。
・50Hz 東日本
・60Hz 西日本
Hz(ヘルツ)が違うものを使うとモーターの回転数が変ってしまい故障の原因となる場合があるので50Hzと60Hzを間違えないようにしてください。
●水中ポンプに取り付けるホースについて
透明なホースや水道用のホースを使うとホース内に藻が生えます。
ホース内に藻が生えると循環する水量が減り野菜の生育が鈍る場合もありますので藻が生えないホースを購入してください。
※ホースの径はポンプのサイズで変わります
●ポンプを動かす為の電源(延長コード)
水耕栽培の装置からコンセントまでが離れすぎの場合は延長ケーブルを使用すると思いますがVVFケーブル(2芯)を使って延長ケーブルを作ると安くつきます。
延長コードの製作は資格は必要ありませんがAC100vは感電すると非常に危ないので十分注意して作業してください。
肥料
水耕栽培で使う肥料は「大塚ハウス」「ハイポニカ」の2種類がおすすめです。
低コストで始めたい人は「大塚ハウス」
簡単に始めたい人は「ハイポニカ」
それぞれ解説します。
大塚ハウスの肥料は
数種類の肥料を調合するところからしなければなりません。
作り方は難しくはありませんが調合する量を間違えないことが大事です
作り方は
①肥料の粉を水に溶かして原液を作る
例)
1号肥料150gを1リットルの水に溶かすと1号原液の完成
2号肥料100g を1リットルの水に溶かす と2号原液の完成
②その原液を栽培で使う水に混ぜて使います
例)
1号原液を25g、2号原液を25g を混ぜて栽培する水に溶かす
といった感じで作ります。
詳しい事はこの記事の下巻の「肥料の管理」で解説していますのでそちらをご覧ください。
ハイポニカは
原液の状態で売られているので水に溶かすだけで使えます。
手軽に使えるので初心者の方にはおすすめです。
私が使うのは 安くて経済的な 大塚ハウスの肥料です。
培地のスポンジ
パイプに苗を固定するためのスポンジが必要です。
スポンジであれば問題なので100均などで見つけてください。
今回のパイプ水耕栽培では使わないので深掘りはしません。
プラスチックの鉢
プラスチックの鉢は
スポンジの代わりとなる物でこの鉢に固形培地を入れてパイプの穴に差し込んで使います。
固形培地を使うと根からの酸素吸収が促進され野菜の生育が良くなりますし水不足の際に枯れる被害を抑えることもできます。
使う鉢のサイズはパイプに空けた10cmの穴に1/3くらい鉢底が入る物で4号鉢か5号鉢がそのサイズになります。
鉢の質とかは関係ないので100均で買える鉢でも構いません。
私が使っている鉢は100均のダイソーで買える丸鉢4号です。100均に立ち寄った際に毎回購入して今現在100個くらい揃いました。
パイプに穴を開ける方法についてはこの後の「組み立て」のところで解説します。
固形培地
プラスチックの鉢に入れる固形培地は排水性が良いココピートがおすすめです 。
ココピートはヤシの木の皮から作られていて排水性にとても優れているので水耕栽培に向いています。
注意点として
苗が小さい内はココピート培地が乾燥しやすいのでジョウロで水をあげるか保水性のある赤玉土を少量混ぜておくと培地の乾燥を防ぐことが可能です。
ココピート以外の培地も使えますので自分にあったものを見つけて使うことをすすめます。
以上がパイプ水耕栽培で必要となる物の紹介でした。
材料が揃ったら装置の組み立てに移ります。
装置の作り方
必要な物の準備できたら次は水耕装置の組み立てに進みます。
まず塩ビパイプの長さが「短い場合」と「長い場合」の違いを説明します。
短く作る場合
・パイプの長さは1m~2m
・水中ポンプは小型の物
このサイズはベランダや家の軒先などに置けるお手頃サイズで水耕栽培の初心者でも管理しやすいサイズです。
長く作る場合
・パイプの長さ4m以上
・ポンプは中型以上を使用
ある程度のスペースが必要となり使う水の量も多くなります。株間を広げると長期栽培も可能ですが場合によってはパイプ内に根が詰まり肥料が全体に行きわたらない事もあります。
栽培装置の形
塩ビパイプと接手を使って水耕栽培に適した形に作りあげる必要があります。
形は次の2種類がおすすめです。
・I型 (アイ型)
・U型 (ユー型)
I型は
塩ビパイプの両端にエルボ接手を取り付けただけのシンプルな構造で作りやすい形です。欠点は水中ポンプのホースが長くなることくらいです。
※材料:エルボ接手×2個
U型は
塩ビパイプの片方の両端を接手2個で90°+90°に曲げてUターンさせる形です。入口と出口が近くなるので水中ポンプのホースが短くで済みますが組み立てが大変なのが欠点です。
※材料:エルボ接手×4個・短い塩ビパイプ30cmくらい
どちらも一長一短ありますが最初の内はI型で1mくらいの装置で試すのをお進めします。
装置の型が決まったらパイプを加工していきます。
パイプの加工は①カットと②穴開けと③組付けの3つの工程で進めていきます。
加工①カット
水耕栽培の装置を設置するスペースに合わせて塩ビパイプをカットします。
カットする際に使う道具は
・塩ビ用または竹伐採用のノコギリ
・普通のノコギリ
の2種類をおすすめします。
パイプの径が小さい場合は「塩ビ・竹伐採用のノコギリ」でもいけますが、パイプの径が大きくなるとカットするのが大変なので普通のノコギリを使って切ると楽に切断できます。
ただ削り口にバリが残るのでサンドペーパーなどできれいに落としてください。
加工②穴開け
パイプのカットが終わったら穴開けを行います。
穴開けができる手動式の道具はたぶん無いので電動工具を使います。
具体的に穴開けで使う電動工具は次の3つです。
・ドリルドライバー・電気ドリル ・振動ドリル
・インパクトドライバー (高トルク)
・卓上ボール盤(業務用200V)
電動工具に取り付けるアタッチメントは「ホールソー」を使います。
インパクトドライバーは大きい径の穴開けには向いてません。
大きな穴を空ける場合はドリルドライバー ・電気ドリル を使ってください。
穴を開けたらパイプ内に削りカスが溜まるのでパイプ内を流れる水で洗い流してください。
加工③組付け
カットと穴開けが終わったら組付けを行います。
パイプとパイプを繋ぎ合わせるだけなので簡単です。
組付け方は次の通りです
・エルボ接手は穴の開いている方を上に向けて取り付け
・U型のUターンする部分はエルボ接手を横向きに取り付け
・Uターン部分の直管は別で購入するか本体の塩ビパイプを少し切って使います
パイプの組付け方法は次の通りです。
・径の小さいものは手で取り付ける
・大きいものは道具を使う
パイプの径が小さい物は手ではめ込めばきれいにハマりますが、大きい物は組付けすることができないので道具を使います。
パイプ組付けの道具は
・塩ビ管連結工具パイラー
・木づち(自己責任で)
を使うときれいに組付けできます。
木づちで強く叩くとパイプが割れるので最初はパイプを手でハメ込んでからパイプを木槌で軽く少しづつ叩いていくとキレイにハマります。
※パイプが割れる恐れもあるのであまりおすすめはできません。
組み付ける際の接着剤の使用は個人的におすすめできません。
パイプの径が小さければ何とか外れますがパイプの径が大きいとたぶん外れないと思います。なので接着剤は自己責任でお願いします。
あとパイプの繋ぎめから水が漏れるので繋いだ部分にシリコンシーラントで防水加工すると水漏れしなくなります 。
栽培後半になるとシリコン部分に藻が生えますが野菜の成長に影響はないと思います。
以上が上巻の記事でした。
この続きはパイプ水耕栽培マニュアル下巻をご覧ください。
↓下巻記事